トモシビ

提灯は言った。どうか俺を残してくれと。
誰かは言った。君はいつかいなくなる。
提灯は分かっていた。いつかそうなるだろうと、分かっていた。
俺は日常的に使えるようなものとしていられなくなると。
提灯は自分の功績を残してほしかった。


光というあたたかみを、皆は当たり前だと思ってしまった。
暗闇の恐ろしさを、大勢の人は忘れてしまった。
提灯は使えたのだ。光という安心を与えてくれるのだ。
しかし、提灯は少しずつ姿を消している。


俺の功績を残してくれ。


提灯はことわざになった。
良い使われ方もした。嬉しかった。
しかし、悪い使われ方をした。嬉しさは吹き飛んでしまった。
提灯は深く傷ついた。


提灯は妖怪になった。
舌を出し、おどけて見せた。
狂ったようにおどけて見せた。
提灯はぴかぴかと光り、おどけて見せた。