親しげな会話

姉が楽しげに電話しているのを横で聞いていて、私はすごく羨ましいと思った。私の直ぐ側で電話をしているので相手の声も少しだけ漏れて聞こえるのだが、相手は男性らしい。姉は相手には敬語であるが、親しげに話をしていた。姉は現状報告や相談などをしており、相手はそれについて色々とアドバイスしているようだった。そういったやりとりを聞き、数十分の電話の時間をずっと羨ましい羨ましいと思っていて、電話を終えた姉に私が相手の人のことを「いい人そうだね」と言ったら、姉は面倒くさそうに「話長いねん」と言った。あの楽しそうな電話は嘘らしかった。
なんだろうな。自分は話す相手すらいないから、その姉の一言にものすごくもやもやしたのだけど、実際学校などへ行ってなんやかんやと過ごしていたら裏表使い分けることも必要になってくるんだろう。実際私もちょっと前はそういうことをしてきた。でも親しげに楽しそうに、自分のことで色々と考えてくれている人がいるのに腹の中では面倒だと思っていたことにちょっと残念な気持ちになった。
多分、無い物ねだりなんだろう。私には今、話す相手すらいないからこう思うんだろう。いや、決して無い物ねだりなんかじゃないし話す相手もいるんだけど、自分から誘うのが怖いから、無い物ねだりということにしてるんだろう。
Skypeを使い始めてから自分で誘ったことなんて数えるほどしかないし、その数えるほどでさえ、Twitterで相手の様子をうかがい、なんとなくお互い近づいていって、結果「話そう」と切り出したのがたまたま私であっただけ。顔を見かけたらすぐ「よっ!時間空いてる?」と元気よく話しかける、みたいなことができないのだ。
姉を羨ましいと思ったんだけど、あの感じを私もしたいと思ったんだけど、時々話す気分になれないのはなんでだろうな。